i-PTH値の上昇傾向とその対応
1.はじめに
既に旧 HP http://jp2kik.web.fc2.com/gaidorain.html でその概要は記述いたしておりますが、再度書き加えようと思い、
筆を取りました。
I-PTH値が、110台から150台、遂には200台(H28.4.11)に突入したからであります。確かにガイドラインでは、透析患者に
おける i
- PTH (
インタクトPTH)値の適正範囲は、透析前数値で60〜240pg/mlと。当院Drは、適正範囲内である事を言
われます。150台の頃にも対処薬 オキサロール(活性ビタミンD剤)の増量をと言いましたが、適正範囲内である事から見送
りました。
*
平成28年時点では、上記gaidorainは、古いgaidorainとなり、透析医学会では、2012年版 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代
謝異常の診療ガイドラインに変更されていた。うっかりであります。しかし、2012年版
gaidorainでも2006年版の趣旨は、生
きていることを確認しました。それ故、以下の記述は、そのままアップしております。
2.私のi
- PTH ( インタクトPTH)値・P値・Ca値の推移
年月日 H27.12.7 12.21
H28.1.4 1.25
2.8 2.22 3.28
4.11 4.25
5.6 5.23
6/13 6/27
7/11 7/25 8/1
8/8 8/12 9/12
9/22
P
4.9 4.9
5.0 4.9
4.8 6.2
5.2 5.0
5.2 5.1
5.1
5.3
5.0
5.8 5.2
5.4 5.1
4.5
3.9
Ca (補正)8.7 10.1
9.8 9.7
9.2
9.6 9.6 9.6
9.7
9.3 9.5 9.4
9.4
9.3 9.4 9.4
8.9 8.9
8.6
i-PTH 161
165 154
165 179
167 179 202 178
142 196 192 217
218
251
261
w-PTH (pg/ mL)
99.9
125.8 141.6 159.4
89.4
ALP (100〜350)
231
226
216
309
以上のようです。透析医学会の 「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」(2012年版)では、
1.透析患者における i
- PTH (
インタクトPTH)値の適正範囲は、透析前数値で60〜240pg/ml。
(
Intact PTH の管理目標は生命予後がもっとも良好と考えられる60〜180pg/mL
とする。)
2.血清P(りん)値の適正範囲は、3.5〜6.0mg/dl。
3.血清補正Ca(カルシュウム)値は、8.4〜10.0mg/dl。
* アルブミン値が、4.0g/dl 以下である時は補正Ca値を使用する。
補正Ca値=Ca値+(4−アルブミン値) で求める。
更に、ガイドラインでは、これら3項目について、優先順位が付けられている。
それによると、弟一義は、血清P値であり、これが、最優先すべきものと位置付けられていた。
そして、第二は、血清Ca値であり、この二つが適正範囲内にあって、はじめて
i - PTH
の適正範囲を論ずるべきであると記述
されている。
そして、ガイドラインでは、「PTHの管理目標は、
Intact PTH の管理目標は生命予後がもっとも良好と考えられる60〜180pg/mL
とする。」と。
その際、「PTH 値管理の前提としてP・
Caの管理が達成されている必要がある。」と。
上記私のP・Ca値は、管理されていると判断すれば、i-PTH値は、管理目標値からは、大きくかけ離れてしまった。
ガイドラインでは、「血清P・ Caが管理目標内でintact PTH が管理目標上限値を大きく超える場合活性型ビタミンD
製剤を用いて
intact PTH
の低下を図る。」と。
現在 私は、月 オキサロール 5マイクロ 水 2.5マイクロ 金 5マイクロ使用中。
その為、水曜日の2.5−>5マイクロにとDrに言ったつもりであります。
*
参考までに、オキサロールは、体内にあるビタミンDを活性化させる誘発剤カ、ロカルトロールは、活性化ビタミンDそのもの。ロカルト
ロールでは、PTHがコントロール出来なくなった場合には、オキサロールに変更するとか。
さて、私の場合は、平成26年7月より現在(まる2年)までオキサロールを上記のように透析後静注。インタクト値は、上昇傾向に
あるようです。
とすれば、H26年7月から現在までまる2年間は、以前の2倍近い量のオキサロールを静注したことになり、オキサロールは、強い
ビタミンD剤であり、ビタミンDは、腎臓で活性化され、働いている存在。しかし、腎不全患者は、自ら体内でビタミンDを活性化出来な
くなっており、オキサロール薬には、腎臓で本来働く物が含まれ、静注することによってビタミンDを活性化して、腸管からCaの吸収を
促すようです。
とすれば、多量のCaが、腸管から吸収される筈。であれば、インタクト値は、下降こそすれ、上昇傾向を示さない筈ではなかろうか。
活性化ビタミンDの働きは、腸内の食事に含まれるCaの吸収を促進し、血液中のCa値を上昇させ、インタクト値を下げる効能が
あると取扱説明書にもあり、上記インタクト値が上昇傾向にあるということは、Caの吸収が促進されないでいるのでしょうか。
月 2回の血液検査においても、Ca濃度は、透析医学会のガイドラインが示す正常値の上限内におさまり、高Ca血症は発現して
いない。
食事に問題があるのか、副甲状腺が肥大化して、オキサロールではおさえられないでいるのか確かめる必要がありましょう。
*
副甲状腺については、当院でもエコーの検査をしておりますから異変は無いと思っておりますが、回診では、詳しい事は言われ
ませんから良く知りませんでした。後日お聞きしますと、通常は、副甲状腺は、米粒位の大きさですと。君のは現在4mmとか。転
院からほぼ8年経っていますから、「副甲状腺は、どのような変化をしているのでしょうか。」とお聞きしましたが、4mmという説明
で終わりました。オキサロールが効かないのは、肥大が原因かよく分かりません。*
只、気になることは、オキサロールには、Caの吸収を促進してインタクト値を下げる効能と同時に体内の骨に働きかけ、骨形成を
阻害するかのような説明もあり、オキサロールを増量した直後は、インタクト値も下がったかと。そこで、元のオキサロール量にすれ
ばよかったかも。
インタクト値が上昇傾向を示すのは、腎不全患者には付き物であり、様子見という見解が当院Drのパターンでありました。*
そして、Drは、適正範囲内(240を超えていない。)と即座に却下。(H28.4.11)
これ以上Drに言うのも僭越かと思い打ち切りましたが・・・。
当院のDrからも何故上昇傾向が止まらないのか考えられる事柄をご教授して頂きたいのですが、されないでしょうね。今までほとんど
こうした考えを述べられない傾向がありますから。
よくよく考えるに、Drのこの結論は、
1. 透析医学会の
「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン 2012年版」を正確に読み取られていない。
2. ガイドラインを正確に読み取った上で、自分に都合の良いi-PTHの適正範囲 60〜240pg/mLの上限値を採用された。
のどちらかでありましょう。1であれば、Drとして患者に不誠実ではありましょうか。 2であれば、何らかの理由で、そうせざるを得ないのか
も知れませんが、これって、患者側からすれば、説明が無い限り理解できないことでもあります。
*
H28.6.15にも、i-PTH値が、190台である事を知り、再度当院Drにオキサロール増量を申し出ましたが、i-PTHの適正範囲 60〜
240pg/mL以内である事から却下されました。その際、「君だけ特別な事をする訳にはいかない。」とか、「診療報酬の点でも必要性を認
めない。」と言われていた。
*
確かに平成28年6月15日時点では、当院Drの指摘は、2012年版ガイドラインに則っても妥当でありましょうか。
確かに透析医学会のガイドラインは、指針(透析病院が治療する最低ライン)でありますが、開業医への強制力はなく、それぞれの透析開
業医の独自性にまかされているのが現状であります。こうした事は、他院の透析患者さんの声からも聞こえてきますから。
最新の透析事情やら透析医学会のガイドラインに熟知していようとなかろうと。
しかしであります。Drである以上、透析患者の予後にはそれなりの力を注ぐべきではないだろうか。患者がどうしてだろうと困っていれば、
考えられる事を提示して、この事柄までは検査出来ますと提案して頂けると大変ありがたいのですが・・。無理でしょうね。
病院経営が赤字になってまでは出来ないでしょうが・・・。そこまではどこの透析病院も体力がなくなっているとは推測いたしかねますが・・・。
真相は、Drのみぞ知る事柄でありましょうか・・・・。
3. レグパラ錠を服用してからのi-PTH等の推移
i-PTH値が、平成28年7月25日に251pg/mLとなって、8月5日(金)当院Drに、レグパラ錠の使用を申し出た。結局最後は、私が希望する
のであれば、処方しましょうと言われ、5日に1週間分が手にはいった。朝食後に服用と出された。次の土・日曜日から服用。透析先輩諸兄
に話すと、血液検査が、午前中であれば、夕食後以降の方が望ましいとアドバイスされ、夕食後からにしてしまいました。その服用方法の
変更は、8月8日(月)来院してから伝えました。レグパラ錠は、25mg 1錠/日。レグパラ錠の効果はどの位で出るのか知りたくて、お聞き
すると、直ぐ出る方もあれば、しばらくしてからという返事でした。(某Drからのメールにて)
年月日H28/8/1 8/8
8/22
9/12 9/22
10/12
10/24 11/14 11/28 12/13
12/26
H29/1/11 1/23
2/13 2/27
3/13
i-PTH × ×
261
×
× × ×
×
×
×
×
179
× ×
× ×
w-PTH
99.9 125.8
141.6 159.4 89.4
108.1 77.3 103.4 120.5
88.2
95.2
× 91.1
100.6 123.2 140.0
互換i-PTH
183.8
231.5
293.3
164.5
198.9
142.2
190.3
221.7 162.2 175.2
167.6 185.1 226.7
257.6
(w-PTH×1.84)
互換w-PTH
97.3
(I-PTH÷1.84) * I−PTHの適正範囲は、60〜180pg/m
W-PTHの適正範囲は、32.6〜97.8カ
ALP値 × × × × 309
× × × 272 × × × 215
× × ×
レグパラ錠(25mg)のみ < -|->レグパラ錠とロカルトロール錠併用
10月末からは、12.5mgと25mg併用から25mg単独服用。
実質のi-PTHは、W-PTHで出るようで、1ヶ月少々レグパラを服用していますが、未だPTH値の上昇傾向は止まらないようです。
そりゃそうでしょう。オキサロール5μを週2回・2.5μを週1回使ってやっとI-PTH値を押さえていたのですから、オキサロール2.5μに
週3回と変更し、しばらく続け、上昇傾向が極端になってきたからでしょうか毎日1錠ロカルトロール 0.25μを追加する措置の導入に相
なりました。
それは、平成28年9月16日(金)回診時 Drからオキサロール2.5μだけではなく、ロカルトロール錠剤 0.25μgを毎日1錠 朝食後
(実際は、夕食後)服用と処方されたからです。この方が、PTH値を下げる効果があるという説明でした。Dr曰「I-PTHは、下げる事は簡単
です。(本当かな・・内心思いました。)それより、骨吸収やら内部で起こる事柄の方が問題ですと。」以前は、I-PTHの上昇は、左程心配さ
れていなかった方でしたが・・・。やっと本腰を入れられるようになったのかなと推察いたしておりますが・・・。はてさて。Dr自らの治療方針枠
から私自身は、飛び出していますから、自己責任扱いでしょうか・・・。
私以外にレグパラ錠を使用している患者さんは、いますか?とお聞きすると、1名いるかいないかという答えでした。その方は、レグパラ錠
の効果は出てきていますか?とお聞きしてもはっきりしませんでした。
レグパラ錠は、翌日が透析日の時は就寝前に飲んでおり、尿量は就寝後の夜・朝が私の場合大部分を占めていますから、服用した薬効が、
就寝前では、弱くなるかもと思い、明け方に飲むのは透析の無い日(火・木・土)と決めて服用しております。レグパラは、8月早々から服用。
ロカルトロール錠剤は、9月16日から処方され、レグパラ錠と一緒になるように服用しました。
*
後日、某医師からロカルトロール錠剤は、レグパラ錠と同時に服用しなくても良いとアドバイスを受けました。また、ロカルトロールを経常的
に服用する事は、体内での活性化ビタミンDの濃度を継続出来ますからとも示唆された。*
その血液検査が、9月26日(月)にありました。ロカルトロールとレグパラ服用は、9日間となり、レグパラ単独服用からほぼ2ヶ月弱経って
おります。結果は、9月30日(金)に分かりました。何とW-PTH値 89.4pg/mlと低下しました。やっと効果が出始めたのかも知れません。
しかし、ALP値は、H28/7/25では、
216U/L(基準値 100〜350)今まで200台で継続していた。ー>H28/9/26では、309U/Lに上昇。
基準値内ではありますが、何を物語っているのでありましょうか。当院Drにお聞きしますと「基準値内ですから心配いらない。」と
患者にしてみれば、それまでALP値は、200台を維持、2ヶ月間後PTH値の上昇とあいまってALP値が、300台。何か関連がありそうと思う
のは、自然な思考ではなかろうか。そうした事柄を「基準値以内だから」で済ましてしまわれては、患者にとってすっきりしませんが、そう思うのは、
私だけであろうか。
ALPに関するHPを覗くと、「
副甲状腺機能亢進症でも数値は上昇する。」とか。こちらの方がよほどすっきり致します。
透析医学会ガイドラインでのw−PTHとI−PTHの換算は、I−PTH=1.7×W−PTH。9月12日のw−PTH値は、159.4。1.7×159.7
≒271(I−PTH値カ)であるようですが、この変換式は、一般的ではないかのような記述もあるようです・・・。
「
W-PTH値の推移をみてもレグパラ錠とロカルトロール錠併用下でも、順調な推移をせず、上下しています。なかなか基準値内に留まってはくれ
ません。」(平成29年2月23日 記述)
また、透析室の多くの患者さんへの対応は、私の目からは何だかスタッフに丸投げ状態?ではないかと思えるのですが・・・。不思議な事は、同じ
曜日の患者さんで常に透析中 最高血圧が、100台を下回り、よくよく聞こえてくるのには、70台前後。当院スタッフも心配なのでしょう大丈夫です
かと声掛け。私が知りえるだけでも4名はいます。その内2名は、生まれた時から低血圧とも聞いていますが・・・。(患者本人に確認)それ以外の患
者さんは、よく分かりません。除水のし過ぎとも考えますが・・・。とにかくDWを固定する傾向にありますから。(私の推測です。)
当院スタッフに上記以外のことを話しかけても院長先生に聞いてください。と言われる事が多いのが現状。Drのしばりがあるのかも知れません・・・・。
勿論、当院Drの治療方針枠内でのスタッフさんへの丸投げ?状態という意味なのですが・・・・。
レグパラの効果がはっきりしてきました。10月2回のPTH検査は、108.1−>77.3となり、10月28日(金)Dr回診時レグパラ錠は、25−>12.5
mg変更になりました。これで2週間後どのような結果が出るのでしょうか。ALP値は、10月検査無し。いくつであったのであろうか。
1回のみの血液検査ですから判断はしにくい。しかし、W−PTHは、2週間後
H28/11/14には、103.4pg/mLに上昇。やはり、レグパラ錠は、25mg
と12.5mg併用では、PTHはコントロール出来ないかも知れません。I−PTHの適正範囲は、60〜180pg/mLかと。(2012年版 ガイドラインでは、
明確には記述されていませんが、ガイドライン作成者の意図からは、そのように読み取れます。)
その後、25mg単独服用にし、現在に至っております。ALP値も、1月末現在 215U/Lと元に戻りました。PTH値も適正範囲内で落ち着いています。
平成28年7月25日
記述
平成28年9月16日 一部追加
平成28年10月8日
一部追加
平成28年10月29日 加筆
平成28年11月22日 加筆
平成28年12月20日 加筆
平成29年2月2日 加筆
平成29年4月7日 加筆
付記
1
活性型ビタミンD剤の診療報酬 点数は、2.5マイクロ入り注射器容器 100点強。(1000円強) 5マイクロ入り注射器容器 2.5マイクロ
の1.3倍。(1300円カ) 10マイクロ入り注射器容器 2.5マイクロの2倍(2000円程度)かと。
お安くはない値段ではあります。
付記 2
当院Drとの話し合いが、平成28年7月1日月曜日 PM3:30以降にYナースさんも立ち会われ行われました。
2013年と題する当院Drの愛読書でありましょう透析医学会ガイドラインの解説本を見せて頂いた。その本には、ガイドラインの原文その物は
記載されていないようで、質問形式の解説書でありました。『インタクトPTHについては、高くなっても左程問題にする必要がない。』と当院Drも
解説されていた。
更に、その解説書には、どこにも、60〜180pg/mlを維持した方が活性がよいとか、生命予後がよいという言葉は、一切記述されていない。
表紙をめくると、某大学の先生名が羅列されており、その名簿には、透析医学会のガイドライン作成者名は、なかったかのようでした。
後日、その部分のコピーを当院Drに依頼しますと快くコピーして頂け、手元にあります。出版社名を聞き忘れましたが・・。
話し合い中は、じっくり読めなかったので、よく読んでみますと、「題 CQ2 PTH値はCKD(慢性腎臓病)の生命予後に影響を及ぼすか?」
その題の直下に、・PTH値がCKDの生命予後に影響を及ぼすかは明らかではない。と記載されている。(P 75)
背景・目的の文をじっくり読みますと、この筆者は、「Ca・Pについては、骨病変・石灰化に関与する事、これらの異常が、CVD(心管系疾患)の
発症や予後に関わる事が知られる。」と。「しかしながらこれらのメカニズムに含まれるPTHが独立してCKDの予後に影響を及ぼすかは明らか
ではない。」と結ばれ、外国の文献12件の中から1件を抽出し、事例を挙げて解説されていた。
そして、『これらの結果のみを考慮すると、非透析CKDではPTHが予後に影響を及ぼすのではないかと考えられてしまうかもしれない。しかしな
がら、すべてのCKDを含めたシステマチィックレビューでは、これに反してPTHは予後に影響しない事が示されている。』と。
『』内の前の文については、事例を上げて説明してありますが、後ろの文の事例は、一切記述されず、結論のみ(私の見解)と理解しましたが、
しかし、『』に続いて、「この結果は、前述のように血液透析患者・腹膜透析患者、移植患者を主に含んだ結果である。」と。筆者は、事例をあげ
たと取れる書かれ方をされています。
そうであれば、その事例は、「PTH値が高くなればなるほど死亡リスクが高くなる。筆者自身PTH値を連続変数として解析しても同様な結果が得ら
れている。」と記述されている事例にあたりましょうか。
更に続けて「(中途省略)糖尿病の有無・推定GFR(30以上・30以下)・血清Ca値(9.2以上・9・2以下)・血清リン値(4.0以上・4.0以下)・ビタ
ミンD製剤使用の有無でみてもPTH値の高い群で死亡リスクが高まる傾向にあった。」と。しかし、この研究事例は、外国であり、観察期間が短いゆえ、
わが国の一般的なCKD患者の経過とは大きく異なり、かなり特殊な集団の結果であろうと切り捨てられている。それ以外には、事例らしき記述は
見当たりません。
そして、非透析患者に対するPTHは、CKDに影響を及ぼしているかはあきらかではないが、(影響を及ぼしていないとは・・私の付け加え)断定は
できないと述べてみえるようです。筆者は、PTHについては、今後の研究の進展に関わっていると結ばれていた。
ところどころに論理の飛躍?がみられ、バイアスがかかっているのではないかと思ってしまいました。
最後に、わが国透析医学会の慢性腎臓病(CKD)に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドラインは、二次資料として参考にされていた。
内容も「ガイドラインでは、PTH値に関して明確な管理目標値を設定せず(2012年ガイドラインの前版ガイドラインには、管理目標値が記述されて
いる。・・私の注)、基準値上限(インタクトPTHで概ね65pg/mL程度)を超える場合は、可能であれば、正常範囲内を目指して治療を行うことが望ま
しいのではなかろうか。」と。
いったいこの筆者は、何年のガイドラインを参照されているのでありましょうか。確かに本の題名には2013とありましたが・・・。この部分は、記載
ミスか、読み取りミスではなかろうか。
「拙稿 社団法人 透析医学会
「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」 の要約と附則 と比べれば一目瞭然でありましょう。
それより、社団法人 透析医学会 2006 透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン をじっくり読まれれば、不自然さは分か
るのではないだろうか。」(この部分は、私の認識ミスであり、正しくは、慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン (透析
医学会 2012版)に変更し、訂正いたします。)
{ その部分を引用すれば、「日本透析医学会統計調査委員会において日本人のデータベースを新たに解析した結果によればintact
PTH 値が180
pg/mL 未満であった患者群は180pg/mL<intact PTH<360pg/mL
に設定した標準群よりも1年死亡率が統計学的に有意に低いことが判明した3年
死亡率で比較すると標準群よりも統計学的に有意に低かったのは30pg/mL<intact
PTH<120pg/mL の患者群であった同様な検討を補正因子を変
えたりintact PTH
値の区切りを変えたりして繰り返してみるとそれぞれの死亡率が60pg/mL<intact PTH<120pg/mL を最小とする緩やかなJ
型曲
線を描くことが再現性をもって確認された本ガイドラインではこの事実を踏まえた上従来の管理目標からの移行の容易さ適応の容易さなどを考慮して
60pg/mL<intact
PTH<180pg/mL を末期腎不全患者におけるPTH
の目標範囲に設定したただし統計学的に有意ではあっても死亡率のハザード比
は標準群に対して最小でも0.83でありその差が決定的に大きいとはいえなかった。」と記述されている。}(引用は、2006年版 ガイドライン。この趣旨
は、2012年版 ガイドラインにも作成者 解説として生きている。)
上記話し合い中に、確認出来たことは、インタクト値が、240を超えてはじめてオキサロールの変更をするという事。( レグパラ錠は話題にも出ません。)
もう一つは、骨を鍛えれば、インタクト値が下がると回診で言われた事の論拠となる論文は、無いという事の2点でした。
某透析クリニックのDrからは「透析患者が運動をすれば、P値は下がります。」(メカニズムは、不明とか)という事はお聞きしましたが・・・。そして、某
Drからは、PTH管理は、難しいという印象を受けておりますが・・・・。いくら当院Drの治療方針枠内でと言われ、そぐわなければ外にも透析病院はあり
ますからは、最後の切り札でしょうが、その方針外は、自己責任で・・・。透析治療は、日進月歩、Drと言えど日常の勤務でお忙しいでしょうが、先進的
に取り組まれている透析病院に学ぶ姿勢も必要ではないでしょうか。確かに透析患者は、病院まかせの方が多いのも事実。しかし、そうでない透析患
者も徐々に増えているのではないでしょうか。どうやら各地の透析クリニックは、横並びがお好きなのでしょう。新しい取り組みは、定着してからと現状
を維持されているのでしょうか。
付記 3
http://medical-checkup.info/article/44936157.html からの抜粋
血糖値が上昇している場合・・・
「 異常な場合に疑われる病気
高値…糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変など
低値…インスリンノーマ(膵島腫瘍)、糖原病、肝臓がん、ガラクトース血症など」と。
ややインタクト値は、上昇傾向。血糖値も同様上昇傾向。どちらが卵でにわとりかは解りかねますが・・・。
この両者は、相関関係が高いのではないかと推察致しました。
只、まだまだ運動不足も疑わなければならないでしょう。少し体内脂肪が増えつつあるようですから。
付記 4
インタクトPTHとホールPTHについて
詳しい事柄は、http://ameblo.jp/simonkei/entry-10774069571.html を参照されたい。
引用「現在の二次性副甲状腺機能亢進症のガイドラインで副甲状腺ホルモンは、intact
PTHで基準値は決められています。日本透析医学会に
おいて透析患者さんの基準値は60〜180pg/mLですが、レグパラが登場して、この薬を内服すると5〜6時間後にはPTHはぐんと低下する為に
基準値も見直す必要がありますね。
朝内服している人の方が少ないとは思いますが、同じ人でも朝内服する方が、夕食後に内服する時よりも低い値で出てきますから。」
私もインタクト値が上昇傾向。当院のDrは、PTH値は、それ程生命予後に関わらないと断言されていますが・・。レグパラを使ってみたいと
思っています。
レグパラ錠については、http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065478.pdf
を参照されたい。
付記 5
リン・カルシュウム・PTHの見方考え方 講演
詳しくは、http://www.ckd-experts.jp/disease/ckd-mbd/other/index_02.html を参照されたい。
付記 6
・ レグパラ錠使用時期について
詳しくは、http://janiigata.sakura.ne.jp/JMNK/23-1/3.pdf を参照されたい。
・ レグパラ錠使用例
詳しくは、http://www.akitajinfuzen.jp/archive/file/seminar/no13/seminar13-21.pdf を参照されたい。
付記 7
「レグパラ錠使用下の透析患者に於ける副甲状腺体積とFGF23についての検討」
詳しくは、http://www.time.u-tokai.ac.jp/webopac/bdyview.do?bodyid=TD00000179&elmid=Body&lfname=link/yoyaku_k_koizumi_masahiro_20150824.pdf
を参照されたい。
付記 8
「慢性腎臓病で起こりえる骨・ミネラル代謝異常・P管理何故コントロールするのか。」
詳しくは、 http://ir.jikei.ac.jp/bitstream/10328/8073/1/128-6-241.pdf を参照されたい。
付記 9
「Ca代謝と副甲状腺」は、副甲状腺の役割とCa代謝の関わりを分かり易く解説してありました。
詳しくは、http://www.kaibashobo.co.jp/sample/naika0303_sample.pdf を参照下さい。