透析患者の 後期高齢者医療制度について

             1.はじめに
                いよいよ平成25年3月より 私も 後期高齢者の仲間入りをする事になりました。
                先日、市役所の担当課に行き、その申請やらをしてきました。

                最近の小牧市役所では、窓口に正規の職員を置かず、パートさんを雇い、窓口業務に従事させて
               みえるようです。

                多くの来客を早く処理する為に、窓口を多くして、対処されてみえるのかと善意に解釈いたしますが、
               かえって、事務能率が、悪くなるという弊害もあるようです。

                市民は、分からないから聞きにみえるのでありますが、窓口の方も、本当には、理解できていない場
               合もあり、正規の職員にアドバイスを貰いながら、窓口で、対応されてみえる事が、多々ありました。市
               民への説明責任がありますので、分かりやすく説明しなければならない筈。忙しい合間に、手続きにみ
               えるのであり、これでは、時間ばかりかかってしまう事があります。

                先日も、私は、後期高齢者医療制度の手続きに、前もって電話で、必要な書類等をお聞きし、出かけ
               ました。
                国民健康保健から後期高齢者医療制度への切り替え手続きに、午前10時頃着いて、何と12時近くま
               でかかりました。最初にどれ位時間がかかるか聞かなかった当方にも落ち度はありますが、そうした説
               明位して頂いてもいいのにと感じてしまいました。

             2.後期高齢者医療制度のからくり
                私は、障害者でありますので、国民健康保険料は、健康な方と比べ、減額されております。この度、満
               65歳をこの3月に迎えますので、医療制度を鞍替えすべきか、よく分かりませんから、市役所でお聞きし
               ようと出かけたわけです。

                最初に長寿保険の担当窓口に呼ばれ、事情を説明しましたら、パンフレットを取り出して、後期高齢者
               の医療制度での、私の支払う費用の説明をしてくれました。医療分は、それは、国民健康保険料と比べ
               れば、多くなるのだろうと推理し、お聞きしていると非常にお安くなっているではありませんか。

                それで、それだけ支払えばいいのかと思いきや、介護保険料は、別会計で、支払い金額が、10段階に
               区分けされ、私は、安いほうの部類だと教えて頂きました。その値段は、21800円(年間)であるという。

                国民健康保険料を支払っていた時は、医療分・後期高齢者支援分・介護分を支払っていた。
                後期高齢者となると、正規は75歳以上からでありますが、私のような透析患者は、障害をもっているの
               で、10年早く、後期高齢者の仲間入りをと、愛知県では、押し進めているやに聞き及んでおります。
                そして、後期高齢者支援分は、後期高齢者となれば、支払い義務が無くなり、医療分・介護保険料だけで
               いいという事のようでした。

                                   参考までに、高齢者医療の充実をと題した、http://aichi-hkn.jp/system/100215-121051.html なる愛知
               県保険医協会の記述を参照されたい。
                そこには、{後期高齢者医療制度の発足に伴い、65〜74歳障がい者(高齢障がい者)は、後期高齢者
               医療制度に加入しないと医療費助成が打ち切られてしまうといった問題が生まれている。これは、愛知県
               が65歳以上の障がい者への医療費助成の条件に「後期高齢者医療への加入」を義務づけているためで、
               未だにこのような条件を付けているのは全国でも7県しかない。}という。
                愛知県は、減税日本なる政党がいて、先進的な事柄に取り組んでいるようにみえますが、内実は、福祉
               医療関係では、最悪の県の7つなのでしょうか。県等は、日本国内では、4拾数県あるとか。パーセントで言
               えば、20%以下。残りは、そのようにしていないという事でしょうか。

                65歳以前では、厚生・共済・国民健康保険のどこでも透析患者(障害者)は、医療費は、無料という有難い
               制度があり、それが、障害者医療費受給者証(黄色い紙)という保険証とは、別個だての証が頂け、医療機関
               に保険証と一緒に、この黄色い紙を添えて窓口に出せば、支払い金は無しということになります。

                ところが、愛知県では、65歳を過ぎると、障害者が、国民健康保険に引き続き加入していたいと申請すれば、
               出来ますが、黄色い紙は支給されず、3割負担がかかってくるシステムになるという。透析患者の1ヶ月の医療
               費は、全額で、40万円位です。その3割負担分は、12万円です。1年間で、144万円となる筈です。

                しかし、国の制度で、透析患者は、特定疾病療養受療証なるまた、別個たての医療制度があり、これを持って
               いれば、確か1ヶ月1万円(被保険者様の標準報酬月額が53万円未満の場合 ⇒ 10,000円、被保険者様の
               標準報酬月額が53万円以上の場合は、20,000円)
で済むようになっているという。その為1年間で、12万円支払
               うだけで、今まで通りの医療を受けることが出来るという。医療費の自己負担額という事であります。

                透析患者は、計算します。国民健康保険に引き続き加入していれば、保険分は、75才になるまでは、国民健
               康保険料と1年間に支払う自己負担分医療費 12万円を合算し、年間十数万円で済むようであります。

                透析患者が、65歳になって、後期高齢者医療制度に鞍替えすれば、後期高齢者医療保険分と介護保険料を
               合算しても、年間 2万7・8千円で済み、しかも、病院で掛かる医療費は、無料になる後期高齢者福祉医療費受
               給者証が、頂けるという。当然、こちらに加入したほうが、断然いい事は、自明の理でありましょう。

                愛知県の65歳以上の透析患者は、全員この後期高齢者医療制度に鞍替えされていると思います。

                                   何故、愛知県は、透析をする障害者を65歳で、後期高齢者医療制度の方へ誘導するのでしょうか。その理由
               を推察してみると、
                @ 65歳未満の透析患者は、ほぼ国民健康保険に加入しているのでは・・・。とすれば、病院でかかった費用の
                  7割分は、徴収した市の国民健康保険料等で、賄い。残り3割分を別個たての特定疾病療養受療証にて、国
                  より補填。患者自己負担分となる1万円分を、黄色い紙(障害者医療費受給者証)にて、県乃至市が補填して
                  いるのでは・・・。

                A 65歳以上の透析患者は、ほぼ後期高齢者医療制度に加入している筈。とすれば、透析患者の医療に掛か
                 った費用は、この後期高齢者医療制度では、患者が病院に支払う費用の6割分そのうちの4割分に相当は、国
                 が補填し、1割分を県が持ち、残りの1割を市が負担しているとか。残りの3割分を後期高齢者医療保険料とし
                 て徴収したお金で賄い、残り1割分が、患者の自己負担分であるようです。しかし、透析患者は、この1割分を国
                 の制度で、特定疾病療養受療証で補填をし、残り1ヶ月分1万円のみを私の場合は、後期高齢者福祉医療費受
                 給者証にて補填(この分が、小牧市では、広域の後期高齢者保険機構の負担分となるのでしょうか。)とすれば、
                 市は、透析患者を65歳から後期高齢者医療制度へ誘導した方が、遥かに透析患者が、国民健康保険に加入し
                 ているより市への負担は、極端に減少する制度といえましょう。市にすれば、渡りに船の心境でしょうか。
                  県内の各市は、県に暗黙の内に要請したとも言えるのではないかと推察いたします。

                *  @・Aをよくよく眺めれば、明らかに市の負担が、軽減されるのは、Aであり、国の負担が増加するのが、Aで
                 あります。財政的にも、出来るだけ市への負担、県への負担が軽くなる制度が、後期高齢者医療制度であるよう
                 です。

                *   医療分保険料と介護保険料等々で、国民健康保険と後期高齢者保険料を比べれば、保険料という観点から
                 みる限りでは、やはり、国民健康保険に加入していた方が、ずっと安いと思われます。その違いは、約半分位
                 の金額で済むということのようでした。後期高齢者保険制度へ移行する事は、保険料等に関する限り後期高齢
                 者にとっては、国民健康保険に加入するよりも割高(2倍強)になる傾向にあります。
               
                  こうした上記の事柄を勘案すれば、保険料としては、徴収者にとって後期高齢者保険制度は、患者に対し、実
                 質の負担増が、もくろめ、医療費の支払いに関しては、市の負担分が減少するという一挙両得の施策である事
                 が分かります。
                  愛知県は、こうした点から、県内の市の担当者から突き上げを受け、自らが悪者になって、障害者は、65歳か
                 ら後期高齢者保険制度へ誘導し、成果を挙げているといえましょうか。県や市にとっては、苦肉の策かも知れま
                 せんが・・・。

                  愛知県の大村知事は、この平成25年度以降、後期高齢者保険制度に加入している層に対し、病院1回あたり、
                 100円特別徴収するか、1ヶ月まとめて1疾病あたり500円を特別徴収するかという制度を立ち上げようと画策さ
                 れております。(某新聞紙上に発表。)近いうちに県民に問う形で意見を集約されるのでしょうか。只単に、アドバ
                 ルーンを揚げられただけかも知れません。広く県民に問うという言い方でありますが、県のHP上に記載されるだ
                 けで、興味関心の高い人しか閲覧しない事を知っていてそのようにされている節が強いのでは・・・。(結局断念
                 された結果となったようです。)

                  それだけ、医療費関係が切迫しているとも言えるのであり、国が、将来にわたる保険制度で、もたもたしてみえ
                 ますから、知事さんは、背に腹をかえられないと腹をくくられたのでしょうか。国は、もっともっとしっかりして頂きた
                 いものです。
                  全国の透析専門病院は、どちらかというと透析4時間を維持する体制かと。国は、潤沢なお金を透析に支払って
                 みえるようだとお聞きしています。とすれば、全てが透析患者に使われているかはなはだ疑問。余剰分のお金はど
                 こへいっているのでしょうか。考えられる所は一箇所しかないでしょう。国も県も市も、その辺りをきちんと精査すべ
                 きでしょう。それをしないで、先年、民主・自民・公明三党で、消費税を段階的に引き上げる法案を立ち上げました。
                   しかし、それだけで解決出来るとは思いません。みんなの党の渡辺氏が声を大にして消費税を上げる前にする
                 事があるだろうという言い分に、私は、共鳴する一人であります。かって公明党の某代議士が、表の予算の事を母
                 屋が、粥をすすっている時、母屋の裏で豪華な食事をしていると揶揄された事が、一向に解決されていないようです。
                  民主党が、本腰を入れてこの問題にメスを入れていたならば、また違った結果になっていたのでは・・・。その時
                 には、前東京都知事の言われる国の会計法の指摘に耳を傾けていたのなら、あとの祭りではありますが・・・。                  

                  各県では、障害者を65歳で後期高齢者医療制度へ誘導する所(全国で20%以下かと。)と、そうでない対応を
                 する所とまちまちのようです。財政的に裕福な所は、誘導をしていないのかも知れません。
                  私の独断と偏見に満ちた考察は、以上でありますが、概ね間違ってはいないと思いますが、どうでしょうか。 

                  平成25(2013)年7月10日、始めての介護保険料の徴収通知書が送られてきました。
                  それによると、この徴収方法は、該当者の居住区の市町村が決められるようです。おおもとは、厚生労働省で
                 作られた案が、国会を通り、介護保険料徴収の基本法律であるようです。それに基づいて各市町村が、施行規則
                 を作られ、実際に運用されているという。後期高齢者医療保険料は、年金天引きか、引き落としの選択ができると
                 いう。

                  介護保険料の徴収は、該当者の徴収金の半分を年金から直接天引きし、残り半分を該当者が、支払うという事
                 を原則としているようです。
                  私は、払う段階になって、はじめて知りました。かって、年金から直接天引きするとはと言って、問題化し、本人の
                 希望で、どちらでも可となったと理解していましたが、それは、国民健康保険料と後期高齢者医療保険のみの事で
                 あるようです。

                  介護保険料は、当初から、年金からの天引き。但し、除外事項があり、年金が年間5十数万円以下の場合は、天
                 引きを除外されるとか、年金を借金のかたにしている場合は申し出れば、除外されるという。この二点のみであると
                 いう。

                  国の言い分にも、受け入れられる所も多々ありますが、年金は、年金。そこから天引きとは、やめて欲しいと考
                 える者もこれから団塊の世代が、後期高齢者になってくると言い出しかねないのでは・・。

                  もっと言うと、これは、女性の方からの申し立てになるのかも知れませんが、天引きではなく、どうせ支払うので
                 あれば、全額本人が支払い、カード払いも可にして欲しいという要望も出てきましょうか。カード払いすれば、点数
                 が付くというおまけが裏にはありそうですが・・・。みみっちい事かもしれませんが、当然支払わなければならないの
                 であれば、出来るだけ余禄のある支払い方法を選択したい。これが、庶民の偽らざる本音でありましょうか。

                  国家公務員の全体とは言いませんが、一部の上層部のエリートのみが、退職後、公益法人等に再就職し、うま
                 い汁を吸っているという現実。まるで、平安時代の「職」につく恩典のように、税金に巣くうこのやり方は、まさしく、
                 古代の系統の形を変えた「職」の分配に等しい再現ではないでしょうか。庶民には、かかわりの無い事柄ではあり
                 ますが・・・・。

                  何はともあれ、団塊の世代の意向は、今後注目をしていくに十分な価値がありそうでしょう。当事者にならないと、
                 人はなかなか動きませんから。
                 
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