透析患者に於ける透析中の血圧低下の対処法について

         1.はじめに
            私の通院する透析病院でも、過去に通院していた透析病院でもちょくちょく起こる症状です。私が知っている患者さんは、糖尿病透析患者も
           いれば、高齢の非糖尿病透析患者もいる。

            こうした患者さんは、透析が二日空く透析日に血圧低下を引き起こしやすい。除水量が多い場合は、体内の循環血液流量が、下がる為に起
                         こる事は、透析患者さんをみておられる透析スタッフさんならよくご存じの事柄でしょう。
            しかし、除水量が、それ程と思える透析患者さん(高齢・透析導入要因が非糖尿病疾患患者)でも、ちょくちょく起こっています。
            いったい、何が原因で起こるのであろうか。

         2.主原因
            高齢非糖尿病性透析患者・糖尿病性透析患者に共通するのは、自律神経がうまく働いていない事に尽きるのではないだろうか。(素人判断)
            通常自律神経が働いている場合、体内循環血液量が低下すれば、体の不必要な部分への循環血液を低下させ、生命維持に必要な、脳・心
           臓・肺への血流を優先させ血圧低下を防ぐ筈。その為、体内循環血液量が低下すると、足の痙攣・喉の声枯れ等を引き起こす。
            自律神経がうまく働かない場合、そうした時は、痙攣・声枯れ無しに、軽い時は、悪心等の気分の変調。ひどい時は、失神状態(意識朦朧状態)
           へと進行する例に私は、何度遭遇した事か。

            そうした意識喪失状態を経験された患者さんは、一様に再発を恐れてみえます。苦しかったからでしょう。
            高齢の患者さんでは、共通するのは、痩せたMIA症候群かと。低アルブミン症でもありましょうか。

            日本透析医学会から出されている血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン 2011によれば、「透析中の血
           圧低下に影響する因子の中ではDW の下方設定の要因は大きい.また,体液量が過剰で,透析による除水量が大きい場合にも血圧低下を惹起し
           やすい。ほかの重要な要因としては,栄養不良などによる低ルブミン血症では膠質浸透圧が低値となりplasma refillingrate が減少し,除水に伴う間
           質から血管内への体液移動が不十分となって血圧低下を惹起する可能性がある。

            透析中の血圧低下の最大要因は循環血漿量の減少である。しかし,除水速度も通常通りで,循環血漿量の減少も顕著でないのに血圧が低下す
           る場合があり,このような例では,心機能障害を問題にすべきである.心機能低下例では,透析開始直後および除水操作によって血圧が容易に低
           下する.冠動脈疾患の有無について循環器医に相談すべきである。

            低血圧の臨床症候として起立性低血圧と常時低血圧がある.前者は,糖尿病患者で頻度が高く,自律神経障害が主因として関与し,DWの上方修
           正や昇圧薬投与で対処することになる.
            後者は透析前の収縮期血圧が100mmHg 未満と低く,症例によっては60〜70 mmHg 程度の場合もある.成因は明らかでなく,除水不全に陥り,体
           液量が過剰となってうっ血性心不全を惹起する予後不良の病態である.」と。

         3.一般的な透析中の血圧低下への対応
            私の透析経験から実際に行われていたのは、透析中に血圧低下をよく起こす患者さんには、低下したと思われる頃生食液の回路内への注入ばか
           りです。確かに循環血漿水の減少には対応した行為ではあり、これで血圧も持ち直しているようです。
            しかし、徐水量の減少という結果になり、体液量の点でどうなのであろうか。それよりも何よりこうした患者さんになぜ起こるのか。その原因究明は
           されているのだろうか。何かなおざりにされ、只その日その時の透析が恙無く終わればよしという風に思えてならない。こう思うのは私だけであろうか。

            現医院でも対応は同じであり、血圧低下される患者さんの心胸比を私は知りませんが、私と同様であろうとすれば、心胸比は、全く病院側から患者
           さんに知らされる事は無い。聞けば教えて頂けるようであります。Drからは、「変わっていませんよ。」とか、「「よかったですよ。」(善意に解釈すれば、
           当該患者さんに無用な心配をさせまいとする配慮からされているとも取れましょう。)血圧低下を起こされる患者さんの心胸比を知った上で透析スタッ
           フさんは対応されていると思いたい。当院でも、某クリニックのDrのように何らかの評価はされているのであろうか。

            私の経験ですが、当院に転院して思う事は、DWは、患者から言わない限り変更されない場合が多いのでは。体重増が多いとDrの顔に似た説明が
           あり、聞いていても心理的圧迫を感じる時が多々ありました。あくまで私個人の感想です。Drに対してDWの変更の「へ」の字も言えない雰囲気があり
           ました。
            現在、院内での透析患者さんをみると割と低体重の割と常時低血圧患者が目につく。
 
            私の推測が的をえているのであれば、気の弱い透析患者さんは、体重増にならないように食事量(患者にとって一番やりやすい食事量の対応)で対応
           されるのではなかろうか。考えてもみれば、一年間全く同じ体重でいる事など至難の業。夏になれば体重減・冬になれば体重増。一週間でも増える曜日
           はあって当然ではないでしょうか。
            透析患者は、只でさえアルブミンは低下し易い、やはり無理してでもきちんと食事は取るべきであり、透析患者に不必要な物は、透析で抜いてもらう。
           体内水分量も適正にするその為のDWでありましょうに。

            数年間私の隣で透析を受けてみえた糖尿病性透析患者さん。透析中の血圧低下に悩まされ、意識朦朧となられた事もあり、血圧低下の兆候が透析
           中にみられると生食液の注入で無事透析を終えられていた。透析時間の延長は、患者さん自ら腰が痛いため拒絶してみえた。
            この病院の近くにお住みで、地域の名士でもあった。透析中の血圧低下を防ぐ目的で、重層式ダイアライザーを使用するようになって、体にとって
           やさしいダイアライザーですから血圧低下も無く恙無く透析を終える日々が何年続いたのでしょうか。体調が年々良くないと言われるようになりました。
            エレベーター内でお会いした時も、体調はどうですか。「良くない。」と言ってみえました。そりゃそうでしょう。体内の毒素の抜けが一番悪いダイアライ
           ザーと聞いていますから。今も健在ですが、心臓を悪くされ大きな病院で対処されたとか。

            DWの対処で、違うダイアライザーの対処で、或いは今のような状況がもう少し遅くなった可能性を推測する。あくまで素人判断に過ぎませんが・・・。

          4.私が知りえた透析中の血圧低下への対処方法の一例
                            ・ 某透析クリニックの説明 詳しくは、http://www.koumeikai.jp/hypotension.html をお読みください。
               部分引用ですが、{「透析終了時前後の低血圧」の対策としては、ドライウエイトが適正よりも低く設定されている場合が多いため、まず、ドライ
              ウエイトが適正かどうかについてもう一度調べ直す必要があります。もし、実際にドライウエイトが過剰に低く設定されているようであればドライウ
              エイトを上げなければいけません。
               ドライウエイトを再評価する方法としては、一般によく行われているのが、透析終了後に胸部レントゲン写真を撮影して心胸郭比(CTR)を測定し、
              過去のものと比較すること、心臓超音波検査を行い、左心房の径、左心室の径、下大静脈径等を計測して過去の結果と比較してみること、透析終
              了時の血液検査でBNPを測定してみることなどがあります。何も評価せずに「血圧が低いので現在内服している降圧薬が原因であるから降圧剤を
              減量して血圧を上げよう」というようなアドバイスはあまりお勧めできません。}と。

               * 透析中によく血圧低下を起こされる患者さんがいますが、私の見た限り透析後にレントゲンを撮るような事はないのでは。定期(3ヶ月に1回)に
              しかされていないと推測する。心臓超音波検査も行われますが、その処理は、技師さんに委ねられているようで、個々の患者さんの過去のデータ
              との比較はされているのでありましょうか。私も気になりますのでちょくちょく過去の事をその技師さんにお聞きしますが、その都度その都度の結果
              はまとめられるようですが、比較検討までされているようには受け取れない応答のように思う。(当院の対応)*

             ・ 透析中の低血圧症状の原因追究が大切とも  詳しくは、http://cetaka.com/bp-785/ を参照されたい。
                考えられる原因として時間当たり除水量の過剰・低アルブミン血漿・ドライウエイトが低すぎる・透析液温度が高い・酢酸不耐性・透析中の食事・
               腎性貧血・自律神経障害・降圧薬・心拡張障害・心アミロイドーシス・心筋障害・抗不整脈薬β遮断薬の薬害・心タンポナーデ等が挙げられていま
              した。

             ・ 某透析病院のPDF  「透析中の血圧低下に対する工夫ー看護師の立場からー 参照
                http://touseki.jp/nakatsugawa/images/activityreport/2003_01.pdf

               各透析クリニックで働くDr・透析技師さん・透析スタッフさんは、それなりに研鑽を重ねてみえるようです。(私の感想です。)
               当院はどうでしょうか。言わずもがなにしておきます。

           5.透析中の血圧低下防止策 (繰り返しになりますが・・・)
             ・ 詳しくは、http://touseki.loglog.jp/09.1.htm を参照されたい。

           6.透析低血圧を防ぐ薬剤
             ・ 詳しくは、http://touseki.loglog.jp/09.1.htm を参照されたい。


         
           

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