透析中の血圧低下の原因とその弊害について
1.透析中の血圧低下の原因について
@ ドライウエイトを本来もう少し低く定すべき時に、高くしている場合(分かりやすい言い方
をすれば、除水のし過ぎに該当する場合)
こうした場合は、透析終了近くになると、血圧が低下するようである。
透析患者にとって、いくつのドライウエイトであるといいのかは、そうした説明は、
案外説明されていないのではないかという疑念はあります。が、ドライウエイトが高(
く設定されている場合は、体内の水分を多く取り除く事となり、終了近くになると血
圧は低下し、筋肉の痙攣症状が、出る場合が多くなります。当然、声枯れは起こりえ
ましょう。
A ドライウエイトは適切でも、本人の除水量が多い、血清アルブミン値が低い透析患
者の場合
除水速度は、血管外の水が、血管内へ移動する速度0.6g/時位かと この速度
以内が、ベスト。ここに時間当たり除水量が大きければ大きいほど、体内の水の血管
内への移動との差が大きくなり、血圧の低下が起こり易くなるという。(一日置きの透析
では、除水量は、いくつのDW体重の方でも0.6ℓ×透析時間以内。DWがいくつでも
透析患者であれば、0.6ℓ×4時間の方は、除水量は、2.4Kg体重増加以内であれ
ば、透析は、安全かつ楽に行われるのではないでしょうか。二日開けての透析時も同
様に考えた方がいいのかも知れません。)
2.透析中の血圧低下の弊害について
@ 自律神経失調症でない場合
一般的に、透析中血圧が、低下した場合、脳と消化管関係には、血流を減少させないよ
うに働くという。足らなくなった血流分は、さしあたって不必要な部位には供給されなくなるよ
うであり、いわゆる毛細血管がある皮膚の喉粘膜等々、或いは、下肢への供給でしょうか。
そうしたことを自律的に体内で行っているという。その為、声枯れ、足先や脚の痙攣(こむ
ら返り)、ひどい時は、下肢全体の痙攣へと症状を重くしていくという。
A 自律神経失調症である場合
@の症状が出ない状態の可能性が高い方である場合、体内では、深刻な症状を呈してい
ると思われます。@の症状は突然発症するのではないかと。それが起こる前に何らかの対
処をしないとAの場合は、大変危険ではないかと考えます.。
また最近、こうした患者さんの場合、便意(大の方かと。)を催す事があるという事を知りま
した。
B 脳血流量と平均値血圧の関係
血圧低下でも、脳への血流、消化管への血流は、最優先にされるようでありますが、血圧
低下にも限度があるようで、高い方の平均値血圧が、60ないし70mmHg以下になると、脳
血流量にも変化が起こるようであり、これ以下の血圧では、脳への血流が、50ml/100g/分
以下に急激に低下するといわれているようであります。
平均値血圧が、70〜180mmHg程度内で推移していれば、脳への血流量は、50ml/100
g/分を維持することが多いようであるという。
こうした血圧低下により脳血流の減少が起こった場合、初期症状では欠伸(あくび)、倦怠感の
出現が起こり易いのではないか。
更に進行すると、悪心、嘔吐が出てくるようであり、更に進むと意識が消失してしまうようである
という。
私もこうした意識を消失した透析患者さんを透析病院内で何人みたことでしょう。以前いた透析病
院では、一人のナースさんでありましたが、こうした症状を呈した患者さんは、静かに寝ていると捉え
られ易く、意識の消失であると咄嗟に判断され、患者さんへの呼びかけをして確認し、直ぐにドクター
への連絡、酸素吸入器具の準備等々近くのナースさんに指示を出し対処されていた。若いなりたての
ナースさんは、後でその患者さんの様子が理解できなかったと正直に話して見えたのを聞くにつけ、や
はり一人一人の患者さんの状態を知り尽くさないとこうした判断は即座にできないのだろうと強く思い
ました。
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