血管石灰化の恐怖とその対策

                  1.はじめに

                    最近、萎縮した腎臓に結石があるのではと言われた。早速紹介状と、CT画像を持参して
                   大きな病院に出かけた。結石の大きさは、それ程大きくはないようで2個ありそうな様子であ
                   った。また、その右側の萎縮した腎臓内には、直径が2cm程度ののう胞と読んでいい物が、
                   存在しているようであった。

                    最悪、外からの超震動により破壊できないかと妻と共にでかけたのであります。

                    以前にも、腰痛に悩まされていた時、整形外科にかかり、レントゲンでの所見を聞いていると
                   整形のドクターから、あなたは、腎臓を悪くしていますね。骨の石灰化が起こっていますよ。ほら、
                   この部分の骨が、きれいに写っていないでしょうと説明してもらい、確かにすっきりした線ではなか
                   った事だけは記憶している。

                    腎臓を悪くしている或いは透析直前患者は、骨の石灰化が、通常起こり易いと整形のドクターは、
                   考えているのでしょうか。
                    そのため、透析直前患者や透析患者は、血液検査のカルシュウムとリンの値を掛け合わせた数
                   値が、55以下になるようにするといいとも言われている。当然、P(りん)値が、真っ先に検討されな
                   くてはなりませんが、最高値5.5以下であれば、可でありましょうか。

                    私の場合は、透析導入期は、リンの値が高く、高リン血しょうであった筈。今は、低りん血しょう
                   状態であり、今まで飲んでいたリン吸着剤(チュアブル錠)は、休薬しています。透析のみで、P(
                   リン)の除去が、うまく出来ている状況にあります。( 平成24年現在の事柄です。)

                    そういう意味では、石灰化は、起こり難い状態ではないかと、推測しています。

                    今回は、思いもよらず、肝臓のCT検査で、腎臓に白い陰と、のう胞(腎臓に1個あるいは数個の"の
                   う胞"(嚢胞)が見られる事があります。これは腎のう胞(嚢胞)と呼ばれ、多発性のう胞腎(嚢胞腎)と
                   は全く異なります。高齢者では"のう胞"(嚢胞)が1〜2個見られても普通で、特に病気と呼ぶほどでも
                   ありません。 引用は、 http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/tahatsuseinohojin.html であります。)と呼ぶ、
                   血清に似た成分が、腎臓内にたまり、直径が2cm程度の袋状になって1ヶ所存在していることが、分
                   かりました。

                    その再検査に出かけたわけでした。

                2.CT画像に表れた症状について

                   結論から言いますと、結石であると言われていた物は、腎臓に繋がる血管の内部にできた、動脈
                 硬化のようで、所謂血管の石灰化と言われるもののようでした。

                   今回は、腎臓関係の血管の石灰化であった訳ですが、これが、この腎臓だけでなく、全身の血管にも、
                  同様な症状はでていないのか、かえってそちらの方が心配になってきております。

                   再検査されたドクター曰(いわ)く、こうした動脈硬化は、透析患者には起こりやすいとの事。透析をして
                  いる方により多く引き起こされる場合があるという認識のように推測されました。
                   私は、のう胞の方も心配で、もしかしてのう胞に付随する悪性は、心配しなくていいのでしょうか。と、問う
                  と、何か心当たりがあるのですかと、逆に切り返されました。どのような心当たりでしょうか、と言うと、例えば
                  血尿とかと言われ、全くありませんですが・・・。にべも無く心配は要らないような口ぶりでありました。まあ、
                  月2回の血液検査でも、白血球の増加もないし、と思いつつ聞いておりました。のう胞については、まったく、
                  心配する必要がないような口ぶりでありましたから。
                   かみさんも、何か心配していたことが、肩透かしを食らったかのように、気が抜けたようでした。が、かえって
                  私の方は、姿の見えない血管石灰の恐怖の方が、強く心に残ってしまいました。

                 3、透析患者の血管の石灰化への対策はないのでしょうか。

                   ありました。某大学の先生による研究報告が。
                   それによると、透析患者のなかにも2種類の患者がいますが、弱冠糖尿病から透析患者になられた方のほうが
                  、石灰化率が高いようでありましたが、そうでない患者でも、それなりの石灰化率を有していました。

                   この血管の石灰化に対処しないと、予後の透析患者のQOLは、よろしくないとの事でありました。

                   結論から言いますと、この血管の石灰化に対処するには、骨粗しょう症に用いられる薬 エチドロネート(
                  EHDP)を用いるようで、400mg/1day を2週間投与し、その後10週間休薬した場合、格段に血管の石灰
                  化率が低下する。こういった研究でありました。
                  ( 参考  http://medical.nikkeibp.co.jp/all/data/ds-pharma/bis070830.pdf   の論文を参照下さい。)

                   まだ、大学での研究成果でありましょう。一般病院では、まだまだ行われないのでありましょう。研究成果は、
                  石灰化の著しい透析患者を2群に分け、投与組と非投与組での比較のようでした。

                   幅広いこうした研究が、行われ、早く普通の病院でも行われて欲しいと思います。まずは、対処療法でも構い
                  ませんから・・。何分薬が、骨粗しょう症の物であり、薬であれば、何らかの副作用もありましょう。

                   普通の透析専門病院でも、患者からの要請があれば、対処される事を望みます。あくまで、患者の自己責任
                  の上で。

                   こうした血管の内部の動脈硬化と、血管中層の石灰化は、痛みは無く、姿無き暗殺者のようで、気が付いた
                  時点では、遅い事が多いのでしょう。大動脈内で起これば、血管の柔軟さが無くなり、血圧低下等を含め、心臓
                  に多大な負荷をかける事になり、死亡原因になり易いとも聞く。透析患者の死亡原因 第1位であるようです。

                                          更に、別のHDF(血液濾過透析)をしてみえるのでしょうか、そこのドクターの投稿で、血管の石灰化に対する
                  対策等々が述べられているHPを見つけました。そのHPのアドレスは、下記のようでした。
                     詳しい事は、  http://ameblo.jp/simonkei/theme-10028270897.html   で参照されたい。

                   透析患者であれば、その透析病院にて、毎月か、三ヶ月毎に1回、胸部レントゲンを取っています。
                   そして、そのレントゲンにて、心胸比等を出し、DW(ドライウエイト・・透析患者さんのその時点の標準体重)
                  を変更したりする指標としています。
                   DWへの参考として、hANP検査(透析後の血液採血検査 DWのおおまかな判定の参考となるとか。)も有
                  効かと。併せましてBNP検査(これも透析後の血液採取にて検査、心不全のスクリーニングともなります。)を
                  行う事も有効かと思われます。残念ですが、私が通院する当医院での実施経験は、無いようです。

                   そのレントゲンに動脈の石灰化が進んでいると白く映る事が、現視出来るといいます。そうしたことも記述し
                  てありました。以下の記述が、それであります。

                       *( 実際に、私自身にもCT検査により、Drから平成25年3月に、腹・胸部動脈に3〜4ヶ所明らかな石灰化の症状がみられますとも言
                        われております。こうした石灰化への対処をされているのかは、当医院においては、不明としか言いようがありません。何しろ、学会で
                        やっとその対策に取り組まれつつあるのが現状でしょうから。一般病院にまで、血管石灰化への対処の方法が降りてくるには、まだま
                        だ先になるのでしょう。その頃には、遅いのかも知れませんが・・・・。筆者注 )*
                     
                        
実は腹部単純XPを側面から取った写真でも脊椎の前の大動脈の石灰化も写っているという。

                        <<石灰化は通常の粥状の動脈硬化の進展部位に石灰化が生じる場合の他に、中、小動脈の中膜にも(Menckeberg型)中膜石灰
                       化
があります。>> (この治療法というか、対処法というのか分かりませんが、現在のところでは、一般透析専門病院にはありません。
                       やっと学会でもその対応に取り組まれる若い研究者が出てきたところでしょうか。・・筆者注)

                     まず、HPで記述されている血管の石灰化の予防方法はといいますと・・。                     

                           さあ、この石灰化の予防はどうしましょう?日本透析医学会が2006年に出した「二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン」
                          には明確にまずは、リン管理、次にCa,最後に
PTH-intactの順にコントロールが記載されています。
                           
この順序は単純に死亡リスクを下げる(?)順番です。つまりは、大きく変動するリンの管理をまずしっかりしましょうという事ですね。
                          カルシウムリン積は55以下はまずリンを下げる事が重要
ですね。
                           
                           
リンを4時間透析、血流200、5型の膜で透析しても800mgくらいしか除去できません。リン1g除去するのは5時間は必要です。

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