す。80kgの人だと摂取蛋白は80〜96gです。
80g摂取したとすると1gの蛋白質には平均15mgのリンが含まれますので、80×15mg=1200mgとなります。
ようするに栄養状態を保つためにはDWg分の蛋白は取れ、ただしリンは蛋白分(700mg程度)しか取るなとなります。(これは
矛盾です)
1日しっかり食べたとして1000mgのリンを摂取すると1.5日で1500mg分増えたものを4時間透析では800mg程度しか除去できて
いません。
そこで、リン吸着剤の登場です。炭酸カルシウム(カルタン)と塩酸セベラマー(レナジェル・フォスブロック)、炭酸ランタン(ホスレ
ノール)が一般的です。
*
参考までに、炭酸ランタン(ホスレノール)の成分を薬剤内に添付されている使用説明書で確認すれば、主成分は、炭酸ランタ
ンであるようですが、添加物として、ステアリン酸マグネシュウムが、存在しているようです。炭酸ランタンなる主成分が、金属であ
り、体内で蓄積されると警告されていました。金属の蓄積が、どのような影響をするのか、試用期間が短く、十分な検証もされてい
ないのでは・・・。リンがホスレノール以外で除去できない時に、使用するしかないのでは・・・。やはり、リンは、透析で除去するの
がベストでしょう。( この点を指摘されているDrの記述を読んで、筆者自身が推察した文であります。参考までに、使用説明書の内
容は、http://www.bayer-hv.jp/hv/files/pdf.php/0207_FOS_D1_201202.pdf?id=1e54507926d4d46ddc6ee451bd7f3a3c9 で確認し
て下さい。 )
更に参考までに、平成25年7月末頃から世間を騒がせています血圧降下の薬(デオバン錠)も、主成分ではありませんが、添加
物として、ステアリン酸マグネシュムが含まれています。このデオバン錠には、上記炭酸ランタンは、含まれていませんから大丈夫
でありましょうが・・・。かくゆう私も、透析開始から9年近くデオバン錠の世話になっており、透析9年目にデオバン錠の騒ぎがあり、
ブロプレス錠2に変更して頂きました。主治医のDrも、デオバン錠には、思い入れもあるようで、憤慨され、即座に使用中止を決断
されたようです。*
( 筆者加筆部分 )
問題は一番使われているカルタンはリンの吸着には優れていても3g(6T)以上の使用では、Caが吸収されて石灰化を促進してい
るという事実です。一方レナジェル(フォスブロック)はCaを含まないのでいいクスリですが、たくさん内服しないといけない事と(最高
1日36T処方したことがありあます)、腹部膨満や便秘で内服できない人がいます。そこでCa非含有で登場したのがホスレノールです
が、これは金属で良く効きますが、臨床で使用されて7年程度です。長期間使用の実績がないので、体内に蓄積されるので、その影
響の心配がありますので、あまりたくさん処方できません。
4時間透析で除去できるリンは約800mg、5時間で1000mg,6時間で1200mgです。(血流量200でのデータ)ではあります。
カルシウム・りん積55以下を維持するためにはリン管理ですが、炭酸カルシウム自体が石灰化を促進する事実を忘れて
はいけません。そして6T以上内服してはいけません。
リンは透析で抜きましょう!!
以上が、HDFを行って見える透析病院のドクターの真摯な見解でありましょう。こうした見解を透析患者さんの前で、言
われることは、非常に稀であり、傾聴すべき言葉として明記しなければいけないことでありましょう。
また、別のHPでは、次のような記述で表されていました。
( 参照 http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/45_2.pdf#search=' )
心血管死では、冠動脈石灰化や弁膜石灰化がかかわり,Ca*P値,Pなどがその危険因子で高P血症が最大の危険因子である。
Pの管理は2.5〜5.5mg/dl,Ca*P値では55(mg/dl)が最も望ましい。Pが6.4mg/dl以上では心血管死の危険率は1.18と有意であり,
P値73〜132mg/dlでは1.34であり,Pの管理が重要である),一方,P吸着剤は,現在本邦で使用されているのは沈降炭酸Caである
ため高Ca血症を合併しやすい現状である。Ca上昇をきたすことなくPをコントロールする新しいP吸着剤としてselevalamerhydrochloride
)
が期待されている。欧米では長期使用でbicarbonateの低下,Ca*P値の上昇の報告がみられている。本邦で使用が可能となったとき,さ
らに検討が必要である。
*
上記の論文は、かなり古い時期の記述でありますので、現在では、P吸着薬には、格段の進歩があります。Caを含まない吸着薬
として、塩酸セベラマー(薬名としては、レナジェル・ホスブロック錠として、市販されています。)があります。更に炭酸ランタン(ホスレ
ノール・チュアブル錠として市販されています。)が出ております。炭酸ランタン錠は、P(リン)の減少には、よく効きます。が、使用され
て10年程度でしょうか。金属が使用されているようで、体内への蓄積という点で、考慮すべきかと・・。でも、P値が下がらなければ、使
用するしかないでしょう。背に腹は替えられないのですから。( 筆者注 )*
さて、以上みてきたように 血管の石灰化には、血液検査項目の P(リン)値が極めて重大なファクターであるようです。
私は、透析を 平成17年3月16日から始めましたが、やはり初期の頃は、高い p(リン)値の時もありました。が、P(リン)×Ca(カル
シュウム)値は、初期でも 55を越えるのは、1回のみでした。
参考までに、P(リン)値が、6.0を越えた時は、H17,6,6 数値 6,1
H17,10.17 数値 6.4
H18,2,6 数値 6.0
H18,4,17 数値 6,2
H18、5,22 数値 6.3
H19、3,19
数値 6,2 の6回でありました。
それ以降は、P(リン)値は、2,5〜5,5mg/d以内であります。
その内、H18,5,22の時のみ P×Ca値が、6.3×9,8=61,74となりました。
H17〜H18年の途中までは、しっかり炭酸カルシュウム(略称 炭カル)のお世話になりました。それ以後は、フォスブロック錠(この当
時この錠剤は、夢のリン吸着剤と言われておりました。)に切り替えカルシュウムの減少に努めました。その後、現在の透析病院にて、
リンの値が、フォスブロック錠では、なかなか減少しなくなり、チュアブル錠に切り替えると、瞬く間に適正値内に収まり、今は、錠剤は
休薬し、透析のみで対処しております。弱冠この透析室で気になりますことは、透析液に含まれるCa(カルシュウム)濃度の高さであり
ます。( 転院直後に、透析に詳しい透析技師さん、今は、退職されましたが、その方に問い合わせましたところ、この透析室は、高齢の
透析患者が多く、骨粗しょう症対策として、Ca(カルシュウム)濃度を敢えて高くしているとの返答があり、一括での透析液であり、個人
的に濃度を下げて欲しいとは言えないでいます。Caの血液検査は、透析前でも、適正でありますが、透析後は、いつも高くなっており、
これも、もしかすると、血管の石灰化に働いているのではという、危惧を抱いております。現在の透析医院の転院は、H21/4/20であり
平成21年にCaについては、そうした危惧の念を常に持っています。一括透析液での透析ですので、追認せざるを得ないのが、現状。
企業提供・血管石灰化とその制御
第25回
日本骨代謝学会学術集会 ランチョンセミナー
http://medical.nikkeibp.co.jp/all/data/ds-pharma/bis070830.pdf
血管石灰化は糖尿病や慢性腎不全の症例において、虚血性心疾患や脳血管障害などを誘発する因子として注目され、発症機序の
解明や治療法の開発に期待が寄せられている。
岡田氏は、骨粗鬆症治療薬として広く使用されている第一世代ビスフォスフォネートであるエチドロネート(EHDP)の異所性石灰化に
対する効果に着目し、血管平滑筋細胞の石灰化誘導の機序と、それに対するEHDPの抑制効果を検討した。その結果、血管石灰化に
最終糖化反応生成物(AGE)が関与し、用量依存性に石灰化を起こすことを明らかにした。また、大動脈に石灰化を認め、骨量の減少
を伴う慢性期血液透析患者を対象にした検討では、EHDP非投与群では経時的に腹部大動脈の石灰化面積が増加したのに対して、
EHDP投与群では石灰化面積の増加が有意に抑制された。
稲葉氏は、血管石灰化は従来考えられてきた「細胞が壊死した状態でカルシウムが沈着するという受動的な過程」ではなく、「骨が形
成される能動的な過程」とし、健常状態では抑制されていた血管平滑筋細胞の形質転換が、高リン血症では骨芽細胞様の石灰化過程
をとることを示した。さらに、大動脈のアテローム硬化型の石灰化は、非糖尿病、糖尿病の患者の双方において全死亡率、心血管死亡
率の有意な独立した危険因子であり、この血管石灰化の制御は透析患者のQOLの向上と死亡率の低下に有用であると述べた。
< 血管の石灰化に関する研究 >
血管の石灰化はしばしば遭遇する病態である上に心血管病の重大な危険因子であるにも関わらず、有効な予防および治療法は未
だに開発されていません。その大きな理由のひとつは血管の石灰化は長年、血中の余剰なカルシウムやリンが単純に沈着すること
により形成されると考えられてきたことです。しかし、最近になって石灰化をおこした血管局所において今まで骨に特異的と考えられて
いた因子が数多く発現していることが分かってきました。これは血管局所において骨の石灰化と同じような機序により積極的な石灰沈
着が引き起こされていることを示唆しています。実際に、石灰化抑制因子であり血管平滑筋細胞にもたくさん発現しているMGPという
遺伝子を破壊したマウスでは血中のカルシウムやリンの濃度は正常であるにも関わらず生後4週程で著しい血管の石灰化が認められ、
生後8−10週までに血管の破裂により死亡することが最近報告されました。私達は血管の石灰化の分子機構をより詳細に解明し、そ
の治療・予防法を開発することを目的とした研究をおこなっています。現在までに冠動脈プラークなどに見られる血管内膜の石灰化の
形成に血管中膜から遊走した脱分化血管平滑筋細胞が重要な働きをしていることや老化により血管平滑筋細胞の形質転換が誘導さ
れ、老化に伴う血管石灰化に大きく影響することなどを明らかにしてきました。現在は、より詳しい血管石灰化の解析のために血管石灰
化のモデルとなるような遺伝子改変マウスを作成したり、様々な薬の血管石灰化に対する効果を検討したりしています。血管の石灰化
が予防および治療可能になる日もそう遠くないかも知れません。 ( 透析患者にとっては、頼もしいお言葉かと・・。)
とまあこのように記述されております。慢性腎不全患者の皆様、長生きしてください。何らかの治療方法が、出来上がるまで・・・。
また、コレステロールの過多も、動脈硬化を促進させる危険因子であります。高脂血症と呼ばれることもあります。
高脂血症(脂質異常症)】
脂質異常症は、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の量が正常よりも多くなったり、善玉コレステロールが正常よりも
少ない状態のことです。
コレステロールは、血液中ではたんぱく質と結びついてリポたんぱくとなって血液中を流れますが、リポたんぱくにはHDL(善玉
コレステロール)とLDL(悪玉コレステロール)があり、LDLにはコレステロールを全身に運び、HDLには逆に余ったコレステロールを
肝臓に戻す働きがあります。
そのため、LDLが多すぎたりHDLが少なすぎたりすると、血液中のコレステロール量が増加して動脈硬化を促進します。
脂質異常症の診断基準は次のように定められています。
HDLコレステロール値:
40mg/dl未満
LDLコレステロール値
: 140mg/dl以上
中性脂肪(トリグリセライド)値(男):
150mg/dl以上
参考までに、私のコレステロールの最近のデータは、下記のようになっております。
適正範囲 H23.4・25 6・20 8・22 10・24 12・19
H24/2/26 8/20
10/22
12/17
HDL(善玉コレステロール) 40〜75 60 57 52 56 54
53
50
63
65
LDL−C定量(悪玉 〃 )70〜139 92 96 81 88 103
86
76
85
79
中性脂肪 35〜149 134 89 102 109 88 116
118
80 103
適正範囲 H25/2/18
4/22 6/17
8/19
HDL(善玉コレステロール) 40〜75 68
60
62
65
LDL−C定量(悪玉 〃 )70〜139
93 81
69
84
中性脂肪 35〜149 75
90
79
77
これを見る限り、適正範囲内にあるといえましょうか。
< 動脈硬化症についての解説を付記しておきます。 >
動脈硬化症
- 動脈硬化というのは、動脈の内膜にコレステロールなどの物質がたまったり、硬くなったり、厚くなったりして、最終的には血
行障害を起こし、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、末梢動脈硬化症などをひき起こす血管の変化のことです。さて、動脈硬化は、
高脂血症、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、ストレス、運動不足などの危険因子を持っている人に起こりやすいことが知られてい
ます。動脈硬化のメカニズムは、コレステロールが活性酸素により酸化されると、マクロファージに食われる。そのマクロファージが
酸化したコレステロールを食べすぎて死ぬと、血管壁に堆積し、動脈硬化を引き起こすそうです。動脈硬化には、アテローム(粥状)硬化、メンケベルグ型動脈硬化、細小動脈硬化の3型があるとか。
アテローム硬化は、大動脈や中等大の動脈にみられる。一般にまず病変は20歳代で腹部大動脈に始まり、胸部大動脈、
総腸骨動脈に及び、さらに冠状動脈、腎動脈、腸間膜動脈へと進む。アテローム硬化の最も進んだ段階である複合病変では、
潰瘍形成、カルシウム沈着、出血、血栓形成などがみられる。大動脈のアテローム硬化では、大動脈瘤や解離性大動脈瘤が
形成される。冠動脈ではアテローム性動脈硬化症 (粥状硬化症)により主として内腔の狭窄ないし閉塞をきたして虚血性心疾
患を発症する。脳動脈では、粥腫による高度狭窄、血栓性閉塞などが起こり、臨床的に脳梗塞が発生する。メンケベルグ型動脈硬化は、主として上下肢の中等大動脈の中膜の石灰化をきたすものであるが、内膜は侵されないた
め内腔の狭窄はみられない。したがって、支配領域の虚血をきたさないので、偶然X線で発見されることが多い。細小動脈硬化は、細動脈あるいは細小動脈の中膜の変性が主な変化であり、壁の肥厚や内腔の狭窄を生じる。脳血管障
害や高血圧に関連が深い病変である。これらの動脈硬化は加齢と共に進行するが、その進行を促進する要因が明らかになっている。これらは危険因子と呼ばれ
ており、臓器によって異なっている。冠動脈疾患の場合には、年齢、血清コレステロール、喫煙、収縮期血圧、心電図異常、
肥満、 糖尿病 である。また脳血管障害では、一過性脳虚血発作、 高血圧 、心異常、狭心症、間欠性跛行、動脈雑音など
の動脈硬化症状、糖尿病、高脂血症、喫煙、ヘマトリック上昇、高尿酸血症である。同一人が危険因子を2つ以上もっている場合には相乗的に、作用するとされている。
とすれば、私は、喫煙を二十歳台から50歳代の後半までしっかり吸っていた。どちらかというとヘビースモーカーの部類で
ありました。50歳代の後半に、きっぱりと煙草から足を洗いましたが、時既に遅しといえましょうか。