私の B2-MG値の透析前・後の推移
1.はじめに
透析を始めて10年間位は、透析アミロイドーシスに苦しめられることはないという。
しかしである、それを過ぎてくると少しずつその影響が掌(てのひら)にでてくるという。所謂
毛根管症
候群である。アミロイドーシス繊維が沈着し、親指と中指,人差し指に痺れが出て、付け根辺りまで起こる
ようである。初期の頃は、それ程ひどくはなく、出たり消えたりするようであるが、やがて手術をして取り除
かねば辛いという。手術後すうとして直るようである。透析病院では、この透析アミロイドーシスの対策をと
るより、手術の方が簡便で、安くできるのかと思う。でも、それは、初期の症状の時のみかと。
この毛根管症候群のチェックの仕方は、親指と小指で輪を作り、力を入れることが出来れば異常なしとか。
これは、血液検査項目の B2ーMGと呼ばれるタンパク質が、何らかの形で変異し、アミロイドーシス
化し、筋肉内等に沈着して引き起こすことが分かってきているからであります。さらに、このB2−MGは、
食事のように自分でコントロールできるものではなく、自分の体内細胞が、作り出すものであり、腎臓が
正常に働いていれば、このB2−MGを処理し、再度有用なたんぱく質として取り込んだり、排出したりし
て、うまく調節していてくれるから、何ら心配することは無いようです。が、透析患者には、残念なことに、
この機能は喪失してしまっているのであり、透析によってしかこのB2−MGを除去出来ないのであります。
いいかえれば、透析では、腎臓のようには処理できないのであります。だから、どうしても不要なB2−M
Gが体内に残留してしまうことになるのでありましょう。これが、長い間かかって透析アミロイドーシスとし
て出現してくることとなるようであるという。
そのためには、Kt/v値は、透析導入時から2.0前後が望ましいとも、それには、長時間透析(5時間)
がいいとか、透析時の血液流量は、透析患者の体重の1.5倍がいいとも聞いた。
とすれば、私の場合、ドライウエイトは、80Kgであるから 80000g×1.5÷(60分×5)=400ml/分とな
り、QBは、5時間透析でも、400で回さないといけないことになる。これは、むちゃくちゃ難しいことではある。
透析二人会という透析患者のHPサイトでは、透析前B2-MG値は、20以下が望ましいとも記述されておりま
した。(その理由は、よく分かりませんが・・・。)
大部分の透析病院では、HD(血液)透析が行われており、HDF(血液濾過)透析の透析病院は、非常に少
ないのが、現実です。 下記の 2や3のB2−MG値の表において、同一QB値では、ありませんが、まず、透
析後の数値を追跡すれば、確実に、透析時間が同一なら、QB(血流量)値が高くなれば、低下する事が納得
できるのではないでしょうか。或いは、透析時間を少しでも長くすれば・・低下していく事は自明の理であるよう
です。
更に、体内に於けるB2−MGの創出は、自分の意思ではコントロールできない事柄のようで、自身の体内細
胞が、勝手に造り出すようであります。体重が増えれば、もしかすると細胞も増え、B2−MG量は、増加している
かも、それ故、透析後のB2−MG値は、極力小さくするのが望ましい事ではありましょう。言いかえれば、毎回
の透析での除去率が高くなっていった方がのぞましいと言う事のようです。
更に、私自身の体でHD透析とHDF透析でのB2−MG値の除去率を比較すると、かなりHDF透析に軍配が
あがるように思えました。おそらくHDF透析では、透析液が、限りなく綺麗にされた状態で補液として1時間毎に
10ℓ血液に入れられ、体に返される前にダイアライザーで、補液10ℓは、確実に除去されるというHD透析では、
行われない作業が加わるからでしょう。
当然、HD透析とHDF透析を同じQB・QD・同一号数の針・同一ダイアライザーで行えば、Kt/v値は、HD透析
に軍配が上がる可能性が高い。
選べられる状況であればという条件がつきますが・・。どちらを重視するかという選択を患者自身が決めることに
なるでしょう。但し、患者自身のアルブミン値が、3.6以上でないと、HDF透析が可能でもHD透析で行われてしま
いましょうが・・・。
2.市民病院から転院した透析専門病院( HD透析 )でのB2−MGの除去率
H19/12/17 H20/6/2 透析条件は、4時間半と4時間透析であり、
透析前 B2−MG 17.7 16.5 QB 250ml/分 QD 400ml/分
透析後 〃
7.4
7.0 ダイヤライザー 2.1u ニプロ F
U
簡易除去率 58.2% 58.6% 針 17Gの簡易除去率ではあります。
Kt/v値 いずれも 数値は、1以下 0.7〜0.9 であったかと。
3.現在の透析をしている病院( HDF透析 )での B2−MGの除去率
H21/4/20 H21/6/22 H21/10/26 H22/2/15 ここまでの透析条件
透析前 B2−MG 21.8 23.3 22.4 21.7 は、4時間透析、QB
透析後 〃 5.5 5.1
4.6 4.6 250〜280.QD 5
簡易除去率 75.5% 78.1% 79.4% 78.8% 00前後 針 17G
Kt/v値 1.27 1.23 1.44 1.35
H22/6/21 H22/10/18 H23/2/21
H23/6/20 H22年4月より5時間
透析前 B2−MG
22.1 18.0 19.7 18.0 透析。QB 250〜255
透析後 〃 3.8 3.8 4.2 3.9 QD
600に限りなく近い。
簡易除去率
82.8% 78.9% 78.7% 78.3% 針 16Gでした。
Kt/v値 1.63 1.51 1.54 1.47
H23/10/24 H24/2/20
H24/6/18
透析前 B2−MG
17.4 19.7
20.7
透析後 〃 3.5 3.8 4.7 *
H24/6/18のデータは、先回
簡易除去率
79.9% 80.7% 77.3% 先々回とは、透析の形が違い
5時間透析 HDF透析 HDF透析 血液(HD)透析 ますから、一概に比較できない
QB 265 270 285
かとは思います。
QD
600に限りなく近い。
600近く。
600 近く。 HD透析は、HDF透析と比べ
針 16Gでした。 針 16G 針 16G 確かにKt/v値は、比較的高く
Kt/v値 1.64 1.65 1.75 なりますが、B2−MGの除去率
は、低くなるようです。(H24/8/21)
H24/10/22
H25/2/18
H25/6/17
h25/10/21 h26/1/6
H26/1/20
透析前 B2-MG
19.1 18.0 17.1
18.0 19.1
19.5
透析後 〃
4.0 3.5
3.2 2.9
3.2
3.0
簡易除去率
79.1% 80.1%
81.3% 83.8%
83.2%
84.6%
5時間透析 HDF透析10ℓ/時 HDF透析 〃
HDF透析〃 HDF透析〃 HDF透析8ℓ/時 HDF透析 〃
QB(透析血流) 305 335 355 375 390 390
針 16G 16G 15G 15G 15G 15G
Kt/v値 1.84 1.78 1.92 2.06 2.09 2.02
H26/2/17
H26/6/23
H26/10/20
透析前 B2-MG 20.1 19.4 18.1
透析後 〃
3.4 3.3 3.2
簡易除去率
83.1%
83.0 82.3
5時間透析 HDF透析8ℓ/時
HDF透析10ℓ/時 〃
QB(透析血流) 395 340 360
針 15G 〃 〃
Kt/v値 2.03 2.46 2.47
平成25(2013)年2月18日現在、限り
なくKt/v値を2.0に近づけつつあると言えましょうか。QB(透析血流)も限りな
く、400ml/分に近づきつつあり、現在 335ml/分であります。
B2-MG値も、目標としております 20.0以下を辛うじて保っております。もしこのQBを上げなかったら、B2-MG値は、
どのように推移していたでありましょうか。恐ろしいものを感じます。
これで、QBは、350ml/分で頭打ちとなる可能性が高い。それ以後のB2-MGの推移が、恐ろしい。やはり透析アミロイ
ドーシスは、避けられない運命でありましょう。今年で、透析9年目となり、10年目は目前。たいてい透析アミロイドーシス
は、10年目以降から出てくるという。さて、私の場合は、何年目以降から出現してくるのでしょうか。( 平成25年2月23
日 記載 )
B2-MG値は、当医院では、4ヶ月毎に調べています。この数値は、透析前 20以下が望ましいと言われているようです。
幸いな事に、私の数値は、最近は、ずっと20以下で推移しており、B2−MGによる後遺症は、まだ出現しておりません。
健康な人で、血中B2ーMG値は、0.5〜2.0μg/mlのようです。私の透析後の数値は、3.2μg/mlが、最高値。もう
少し血流を上げれば、一瞬ではありますが、健康人と同じ数値になりましょうか。
こうした透析前・後のB2−MG値を限りなく低下させ、健康人の数値に近づければ、B2−MGによる後遺症の発症を
遅らせられるのではないかと漠然と考えています。( 平成25年7月10日 記載 )
昨年5月、高血流透析、長時間HDF透析の先端をいってみえる島根県松江にある松江腎クリニックにて、5時間透析、
HDF 血流350ml/分での透析をし、初めて針 15G(プラスチック針)を体験いたしました。Kt/v値は、それ程変わりま
せんでしたが、後日送られてきたデータにコメントとして、松江のクリニックのKt/v値は、実質2.5以上。BUNの除去率
は、目安80%超。実質平均90%としてありました。
その時の私のKt/v値は、1.77.BUN除去率 79.1でありました。この数値で、私は、もっと血流量を上げる必要あり
と判断いたしました。平成25年10月時点では、Kt/v値 2.06 BUN除去率(簡易)は、83.7% 血流量は、375ml/
分でありました。
平成25年12月では、血流量385ml/分 Kt/v値 2.06 BUN除去率 84.4%まで上がってきております。まだまだ
血流量も上げ、今年は、透析時間の延長も視野に入れてDrと交渉していかねば。
平成26年1月6日の透析では、HDF透析補液8ℓ/時とし、10リットル分補液を少なくして計40ℓ 5時間としました。アルブミ
ンの漏出を少なくする対策であります。その為、ややB2ーMGが、体に残る可能性がありましょうが、やむを得ない措置と
思っております。案の定、透析血液流量を前年の10月より15ml/分上げましたが、B2−MGの除去率は、83.2%と、前
年の10月よりも、若干下がっておりました。アルブミン値は、今回は、3.9と上昇しておりました。
BUN除去率は、H26/1の1回目は、83.3%。透析血液流量は、前年の12月より、5ml/分あがっておりますが、前年の
BUN除去率より若干落ちているようで、やはり補液量が、10リットル分少なくなるだけで、相当な除去物質が、除去されな
い結果となるようです。その代わりKt/v値は、上昇するようです。
再度、1月は、2回目の血液検査でも、透析前後のB2-MG値を調べて頂けるようで、再確認できそうです。( 平成26年1
月19日 記載 )
1月 2回目の検査結果が出ました。前回とほぼ同様な結果と言えましょうか。アルブミンが、3.7へと逆戻りしたようです。
(平成26年1月28日 記載)
2月は、定期B2-MG検査月であります。アルブミン値も、更に低下し、3.5へ。透析前B2-MG値も、20.1と久しぶり
に大台を記録。4ヶ月に一回 定期B2-MG検査があり、次回 アルブミン値が、3.5を下回ると、HDF透析からHD透析に
切り替わるとか。(平成26年2月24日 記載)
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